完全に行き場を失ってしまった。
どうしたら良いのだろうか。。迷う。
出口の見えない迷路に足をつけた。
やっとゴールだと思っていたのにゴールが消えてしまった。
俺が一体何処を目指したら良いのか。目指す所は分かっている。分かっている。
何処を目指して歩き出せば良いのか。
目の前が暗い。
目の前は暗い。
霧がかかっている。
ふかい、ふかい霧が、周りを覆っている。
目の前が道路なのか、草むらなのか、水辺なのか何にも分からない。
ただただ、動きが止まっている。
ゴールも見えたし、ゴールだと思った場所に行こうとした。
でも、道が消えた。
道が消えたと同時に、ゴールも消えた。
ゴールが消えたと同時に無数のゴールが浮かび上がってくる。
目の前にたくさんのゴール。
どうしたら良いものか分からない。
何も分からない。
ただただ。ぼぉーっと暗闇にただただ立ち尽くしている。
いたづらに時間だけはすぎる。残酷だ。
でも、でも、向かうしかない。進むしかない。泣き言を言っている暇はない。
ただただ、闇雲に進むしかない。
目を閉じて、耳をあけて。研ぎすました五感に、全細胞に身を委ねる。
無理しない。身を委ねてそこに向かう。
ゴールなんてない。
初めから、ゴールなんてない。
ただ、ただ、道を歩いて行くだけ。
ただ、ただ、感じたまま、光のさす方に身を委ねて、声の聞こえる方に身を委ねるだけ。
どこにいるのか、同じ場所を往来しているだけなのか。
俺には分からない。
でも、分かる。
身を委ねて。
頭を流れに任せて。
目線を流れに任せて。
手を足を身体全部、気持ち全部を自分の身体に任せて。
ただ。歩くだけ。
何でもない。
ただただ自分があるだけ。
恥ずかしい事だらけ。
卑しい事だらけ。
俺は裸で歩いている。
惨めで格好悪くて駄目な男。
でも歩く事は止めない。
流れに身を任せているから。